シマノ最軽量スピニングリールであるヴァンキッシュ。軽さやレスポンスにおいてヴァンキッシュの右に出るリールはありません。
実釣性能はフラッグシップ機であるステラやイグジストと同レベルと言っても過言ではないと思います。
今回はそんなコストパフォーマンス抜群のヴァンキッシュをインプレします。記事後半でテクノロジーやスペックのお話をしますので、ぜひ参考にしてください。
19ヴァンキッシュのインプレ
今回対象となるサイズは1000SSSPGです。約1年半アジングメインのライトゲームで使用しました。
メインで使用したラインはエステルの0.2号です。
ヴァンキッシュの軽さ
ヴァンキッシュ最大の武器は何と言ってもその軽さです。1000SSSPGで145gと2021年2月現在、販売されているスピニングリールの中では最軽量です。
軽量であることで非常に操作性が高く、思いのままに操ることが出来ます。超軽量のアジングロッドとバランスを合わせやすいのも大きなメリットです。
ヴァンキッシュの巻き心地
ギアボックスがCI4+であるが故のシャラシャラ感は感じます。悪さをするノイズではないので実釣には問題はありませんが、気持ちいい巻き心地ではありません。
金属ボディのカチッとした巻き心地には程遠いです。軽量かつ高感度なリールなので余計にシャラ感を拾ってしまうのか、ツインパワーよりも気になります。
何度も言いますが、実釣時に問題のあるシャラ感ではないので普通に問題なく使えます。
ヴァンキッシュの剛性とパワー
軽量であることと半プラボディであることで、パワー不足や剛性不足を心配されることも多いヴァンキッシュですが、パワー、剛性ともに十分です。
リールフット側はCI4+よりも高剛性のマグネシウム製で、CI4+のギアボックスと4本のねじでガッチリと固定されているので何も問題はありません。
ギアは冷間鍛造で作られたHAGANEギア、ボディサイズに対して非常に大口径のギアが使用されているので、巻き上げも非常に楽です。
実際、PE0.4号でドラグをほぼ出さずにヒラスズキを獲りましたが瞬殺でしたし、4000番にPE1.5号をテンションガチガチで巻いても、特にパワー不足を感じることはありませんでした。
ヴァンキッシュの飛距離
最近のシマノのリールはロングストロークスプール搭載が当たり前になってきているので、敢えて言う事ではないかもしれませんが良く飛びますね。
シマノからは4%UPという発表ですが、もっと飛んでいるように感じます。ロングストロークスプール非搭載のリールと比べると明らかに違います。
具体例を出すと、夜の常夜灯下のアジングで、頑張って投げて明暗まで飛ばしていたのが、軽く投げるだけで届くようになりました。
この事からも飛距離が上がっているのは明らかですね。明暗と言うはっきりとしたラインがあったので体感しやすかったです。
PEライン使用時よりもエステルライン使用時の方が飛距離UPを大きく感じました。
ヴァンキッシュのレスポンス
レスポンスは最高です。軽量のマグナムライトローターが良い仕事をしています。
ローターが軽いことで、しっとりとした高級感のある巻き心地は出ませんが、ライトゲームで使うなら巻き心地の良さよりもレスポンスが優先です。
レスポンスが良いことで非常にアジングに使いやすいので、ヴァンキッシュ購入後はステラはアジングであまり使用していません。
ヴァンキッシュのドラグ性能
ステラと比べて粘り強いように感じます。必要以上に滑らず、出てほしい時だけ最低限出てくれる良いドラグです。
ヴァンキッシュの耐久性
1年半、水洗いとオイルメンテのみで使いました。
オーバーホールが面倒だったのでそこまで引っ張りましたが、1年ほどでグリスが飛んだ感覚はありました。先日、全解体してギアをチェックしたところ、グリスは飛んでおり、ギアの摩耗も見られました。
1年ごとにしっかりとオーバーホールしたほうが良さそうですね。
※使用頻度と使い方にもよります。
ラインローラーは回らない
Xプロテクトが搭載され非常に防水性能が高いラインローラーですが、回転が悪く、軽量ジグヘッドやスプーンなど、抵抗が少ないルアー使用時は全くと言っていい程回転しません。
酷い糸撚れに繋がり、トラブルが起こりやすくなる他、巻き重りや飛距離の低下、ラインの寿命が短くなることにも繋がるので、ライトゲームやトラウトなどで使われる方は社外品に交換することをおすすめします。
おすすめはIOSファクトリーのインパクト
回転が非常に良いので、トラブル防止や感度UPに繋がります。ただし防水性能は純正品に比べて大きく劣るので、こまめなメンテナンスとベアリング交換が必要になります。ベアリングはIOSファクトリー製やシマノ純正などの高級品を使う必要性はありません。ミネベア製やNSK製の300円ほどのベアリングでも十分回ります。
ヴァンキッシュを総合的に見て
実釣性能だけで見ればステラに引けを取りません。用途によってはステラよりも遥かに使いやすいです。
実売5万円前後の価格帯という事を考えると非常にコストパフォーマンスに優れたリールであると言えます。
ステラやイグジストのような高級感はありませんが、性能と値段のバランスを考えると非常に優秀だと言えるでしょう。
ヴァンキッシュは買うべきか?
高剛性で軽くてレスポンスの良いリールを求めるならヴァンキッシュは間違いなく買いです。
実釣性能はイグジストと同等でありながら2万円ほど安いですし、ヴァンフォードやルビアスとは性能が全く違います。
高級感や所有感も求めるならヴァンキッシュは買わない方が良いでしょう。これは僕個人の感覚ですが、5万円のリールにしては見た目や質感は安っぽいです。
「ヴァンキッシュに何を求めるか?」買う前によく考えてみてください。
ヴァンキッシュのラインナップと搭載されているテクノロジー
ラインナップ
1000SSSPG:アジング専用と言っても過言ではないモデルです。
C2000SSS:極細ラインしか使用しないライトゲームやエリアトラウト向けのモデルです。
C2000S・C2000SHG:ライトソルトやトラウトなど幅広く使えるモデルです。
C2500SHG・C2500SXG:ライトソルトの一部やブラックバスなどに向いたモデルです。
2500S・2500SHG:エギングやブラックバス、アジ・メバルのフロートやライトロックに向いたモデルです。
C3000SDH・C3000SDHHG:エギング専用と言っても過言ではないモデルです。
C3000・C3000MHG・C3000XG:フロート、エギング、シーバス、SLSJ、ロックフィッシュなど様々な釣りに使える汎用性の高いモデルです。
3000MHG:ハードロック・シーバス・フラットフィッシュなどの釣りをライトに楽しみたいときに使いたいモデルです。
4000MHG・4000XG・C5000HG・C5000XG:フラットフィッシュ・ライトショアジギング・ヒラスズキ・ハードロック・ライトショアキャスティングなどに向いたモデルです。
全部で18種と豊富なラインナップです。
フィーチャー
HAGANEギア
金属の塊を約200トンの圧力でプレスして切削なしに仕上げられたギアです。切削しないことでギアの表面に一切傷が入らないため非常に滑らかかつ強いギアになります。
素材は超々ジュラルミン。ヴァンキッシュのギアはシルバーです。
マイクロモジュールギアⅡ
非常に細やかなギア。これにより非常に滑らかな巻き心地となります。
Xシップ
ギアの大型化、配置の見直し、ピニオンギアのベアリングによる2点サポート。
HAGANEボディ
ヴァンキッシュのボディはマグネシウム(リールフット付きフタ)とCI4+(ギアボックス)のハイブリッド製です。
Xプロテクト
回転の軽さを損ねないように、非接触式構造となった防水機能。撥水処理とラビリンス構造の複合により、非常に高い防水性能を誇ります。
少々の水没なら内部に水が入りません。(実証済み)
サイレントドライブ
部品間の隙間を可能な限り排除しガタを抑えます。ピニオンギア下側やドライブギア右側、ウォームシャフト下側にウェーブワッシャーを入れることで隙間をなくしています。
Gフリーボディ
スプールをオシレートさせるための部品(摺動子ガイド、ウォームシャフト、クロスギアなど)をリールフット側に配置することによって重心を手元に近づけた構造の事です。
AR-Cスプール
トラブルなく飛距離を伸ばすことに成功したシマノが誇る高性能スプール。
ロングストロークスプール
スプールの糸巻き部の幅を長くすることによって飛距離の向上を実現したスプール。
リジッドサポートドラグ
メインシャフトとスプール内部にベアリングを配置することでスプールを安定させ、かつ滑らかに滑り出すようにしているシステムです。
S A-RB
錆を寄せ付けないベアリングA-RBにシールドを被せたベアリングのことです。
ワンピースベール
繫ぎ目のない一体形成にすることでラインローラーにラインが自動的に収まるよう設計されたベールのことです。
低摩擦ローラークラッチ
ピニオンギアを抑え逆転を防止するローラークラッチを低摩擦にすることで、より軽い回転が実現されました。
マグナムライトローター
シマノが誇るCI4+製の軽量ローター。パーツの配置を見直し、左右非対称構造に。ベールのチタン化や肉厚の最適配置により回転慣性の低減を実現しながら、剛性もしっかりと確保されています。
最後に
ヴァンキッシュは数あるリールの中でもトップクラスの実釣性能を持つリールです。
軽量でハイレスポンスのリールを求めているなら、買って後悔することはないと思いますよ!