手軽で誰でも簡単に始めることができるアジング。
その手軽さとは裏腹に、突き詰めればかなり奥が深いです。
前回の記事では初心者におすすめのアジングロッドをご紹介しましたが、そのロッドでは釣れないアジがいます。
最近の低価格帯アジングロッドは非常に優秀でびっくりしてしまいますが、それでも超えられない価格の壁があります。
そこで今回は、中級者へのステップアップを目指す方におすすめのアジングロッドの紹介とアジングロッドを選ぶ際に見るべきポイントの解説をします。
アジンガーとして、元釣具屋店員として、ロッドビルダーとしての3つの視点から見ていきます!
この記事を読むメリット
- 中級者向けのアジングロッドを知ることができる
- 初歩レベルから1歩踏み込んだアジングロッドの知識を得ることができる
アジングロッドのグレードを上げた先の未来
- 反響感度・操作感度が良くなる=釣れるアジの数が増える=楽しい
- 釣れるアジの数が増える=アジが釣れる感覚が早く身に付く=上達スピードが上がる
- 軽い=疲れにくくなる(例外あり)
ロッドを替えた途端に急激に釣果が伸びることがあるのがアジングです。
もちろん基本ができている事が前提ですが。
エントリーモデルのロッドではどれほどアタリを取り逃していたかが分かりますよ。
ミドルクラスのアジングロッドの役割
- エントリーモデルからのステップアップ
- ハイエンドモデル購入時の判断材料
エントリーモデルからステップアップすることで、釣果を伸ばす、成長を促進するというのはもちろんですが、ミドルクラスのロッドは次の1本を買う際の判断材料となります。
このクラスのロッドを使うようになってくると、「もっと硬いほうが良い」「もうちょっと短いほうが好き」など好みが出てくると思いますが、その好みがハイエンドモデルを買う際の判断材料となるのです。
エントリーモデルでは、性能差が大きすぎる事とそもそもテイストが違うので参考にならないのです。
ミドルクラスのアジングロッドを買う際に見るべきポイント
初心者向けの記事で書いた項目についても書きますが、内容は違います。
リールシート
釣りをする時は、必ずリールシートを握ります。
ロッドを持つ手にアタリが伝わるときは必ずリールシートを通して手に伝わります。
ロッドビルダーの中には、感度を上げるためにオリジナルのリールシートを作り出す人までいます。
僕もその一人です。
それほどリールシートという部分は重要なパーツなのです。
ほとんどのメーカーが富士工業のリールシートを使用しています。
- IPS
- VSS
- TVS
この3種のうちのどれかであることがほとんどです。
それぞれ簡単に解説します。
IPS
丸みを帯びた太めのリールシートです。
リールシート本体とグリップ部(EVA・コルク)が接着されています。
一般的に、3種の中で最も軽量です。
掌で包み込むように握ることができるので、手に伝わる振動が感じ取りやすいです。
VSS
シュッとした細身のリールシートです。
リールシート本体とグリップが接着されています。
細いですが、分厚いためIPSよりも重いです。
細いグリップが好きな方におすすめです。
TVS
グリップ(EVA・コルク)なしで使えるのが特徴です。
リールシート本体内側にカーボンパイプを入れて使う事が一般的です。
使うカーボンパイプによって重量が変化します。
樹脂の硬い部分を直接握ることができるので、反響感度が高いです。
慣れないうちは滑りやすいですが、慣れれば問題ありません。
どれが良くてどれが悪いという話ではありません。
リールシート本体の重量や感度はそれほど重要ではないので、自分が握りやすいものを選べばOKです。
大切なのは総合バランスですから。
ガイド
ガイドにはチタンフレームとステンレスフレームがあります。
内部のリングにも種類がありますが、このクラスのロッドなら99%SiCリングなので気にしなくてもOKです。
チタンフレームとステンレスフレームの違いを簡単に解説します。
チタンフレーム
- 軽い=ロッドが軽くなる
- 錆びない
ステンレスフレーム
- 重い=ロッドが重く感じる
- 錆びる
見れば分かると思いますが、アジングロッドにおいてはチタンフレームの方が優秀です。
チタンは軽く、ステンレスは重いと言いましたが、アジングロッドに使われるサイズのガイドなら総重量は1gも変わらないと思います。
しかしそれでも持った時の感覚は全く違います。ガイドの重量はそのぐらいロッドに影響を与えます。
ティップ
3種のティップの特徴については、前回解説したので割愛します。
基本はソリッドティップを選ぶこととなりますが、中価格帯でも1種類だけチタンティップのモデルが発売されたのでそちらを選ぶのも良いでしょう。のちに紹介します。
チューブラーは活躍できる状況が限定されています。2本目もしくは3本目のロッドには良いかもしれませんがメインとはなり得ません。
ソリッドティップは慎重に見ましょう。ソリッド部次第でロッドは別物になります。
基本的には、ソリッド部が短いほど、硬いほど反響感度が高いです。
ソリッド部が長いほど、柔らかいほど操作感度が良いです。
長さ
ミドルクラスのロッドの購入を考える頃になると、自分が求める長さは自分で分かると思います。
初心者編では6フィート前後のロッドをおすすめしましたが、ここでは敢えて長さのおすすめはしません。
最初に選んだロッドの長さで不便がないなら同じで良いし、短くて困るなら長くすればいいです。
感度と操作性を求めて、短くしてみるのも面白いかもしれません。
ハイエンドモデルを選ぶときに失敗しないように、敢えて攻めた選択をするのもアリだと思います。
ルアーウエイト
基本的な考え方は初級編で解説したことと変わりませんが、ミドルクラスのロッドを買おうとしている方ならもう使うウエイトも決まっている事でしょうから、それに合うルアーウエイトのロッドを選べばOKです。
中級者におすすめのアジングロッド
この価格帯になると、誰にでも使いやすいロッドではなくなり、釣るための性能に特化し始めます。
ロッドの使い方を覚えていないうちに手を出すと高確率で折ります。
自分と合うロッドが見つけられれば、長く相棒として付き合えるレベルの性能があります。
今回は2本を厳選しました。この2本はこの価格帯では頭一つ抜けています。
コルト 21GCORS-572UL-TS(オリムピック)
2022年1月現在、この価格帯で唯一のチタンティップ搭載アジングロッドです。
操作感度が抜群に高く、反響感度もしっかりと残せるチタンティップは渋い状況で特に抜群の効果を発揮します。
潮のもたれ具合や抜けアタリ、少し重くなるだけのアタリなどの荷重変化を感知する性能が非常に高いです。
カーボンパイプを噛ませたオリジナルのリールシートはEVAやコルクなどのグリップを使わないことにより、振動の減衰が少ないため反響感度UPに貢献しています。
渋い状況で1匹を獲りたい方や、チタンティップのロッドに興味がある方におすすめのロッドです。
グランデージライト 55・61 (アピア)
がまかつに移籍した名ロッドビルダー松本さんがアピアに残した名作。
コストをブランクに全振りしたようなロッドです。
一部を除いて、ガイドフレームは全て「ステンレス」とこの価格帯ではガイドのランクが低いですが、その分ブランクが良いです。
パリッとしているように感じますが、よく曲がりよく粘ります。
非常に柔軟なソリッドティップは、軽量ジグヘッドの操作感度に優れます。
限られたコストの中で、ブランクを徹底的に突き詰めた。そんなロッドです。
操作感度が良いので、潮の抵抗を感じやすく、アジの着き場を見つけやすいです。
アジのいるところにルアーを届ける。それがしやすいロッドです。
ティップが柔らかい分、「掛けた」という感触は薄いですが、半オートマチックにフッキングするのでフッキング率が上がります。
獲れるアジの数はかなり増えると思います。
鯵道5G AD5-S582L/AJI(メジャークラフト)
メジャークラフトが本気を出してきた!メジャークラフトと言えば安くてそこそこのロッドを作っているようなイメージでしたが、このロッドでそのイメージは崩れ去りました。
釣具屋で持った時はびっくりしましたね。「これホンマにメジャクラのロッド??」ってなりました。
軽さとバランスの良さはクラストップクラス。自重は公開されていないので分かりませんが50g台前半と言ったところでしょう。
ソリッドティップのハリ具合も絶妙です。
新製法のR360(曲げ・潰れ・ネジレなどロッドに掛かる多種多様な負荷に耐性を持たせた構造)やT1100G(ナノアロイテクノロジーが搭載された高品質高強度の33トンカーボン)などこの価格帯とは思えないようなテクノロジー・素材が使用されたハイコスパロッドです。
ミドルクラスのアジングロッドで更なる高みへ!
ロッドがエントリークラスからミドルクラスに変わると世界が変わります。
上の3本から選べば間違いありません!
これまで釣れなかったアジが釣れるようになり、よりアジングが楽しくなりますよ!
※今回ご紹介したロッドは非常に人気があり、すぐに在庫が切れてしまいます。コロナの影響もありロッドだけでなく釣具の生産状況はかなり厳しいものとなっていますので迷う時間はほどほどに、出来るだけ早く買った方が良いですよ。